第3回「柴田法則」の体系ー棒足と鈎足

棒足法則とは

ローソク足画像棒足とは、ローソク足のことをいう。
始値、終値、高値、安値の4本値を右図のように表したもので、陽線と陰線に分かれる。棒足罫線図は時間の経過とともに引線され、日足、週足、月足罫線図が広く普及している。棒足法則とはこれら日足、週足、月足等の罫線図を分析することにより法則の出現をとらえるもので、順張り48法則と逆張り48法示にわかれる。
柴田罫線の考え方はこうだ。
相場は、買い方と売り方が戦いをおこなっている。その戦況が刻々と現われているのが罫線図だ。それを注意深く観察することによって、買い方が売り方を負かし、株価の上昇に弾みがつくその瞬間をとらえることが可能である――。

罫線図全体をみて、株価の軌跡がどのように変化してきたのかをその形(「柴田罫線を学ぶ」シリーズ第2回日産自動車の罫線図参照)などから48種類に分類したのが順張り48法則だ。
逆張り48法示は、さらに細かくローソク足2本〜6本程の組み合わせを48通りに分類したものである。  

法則の裏で買い方と売り方の力がどのような戦いをしているのか、そのとき相場がどのような状況なのかを詳しく解説してある「天底と転換罫線型網羅大辞典」は一見難しそうに感じることがあるが、実際に読んでみるとわかりやすい。何度か熟読されれば投資方法に必ず変化をもたらす力がある「柴田罫線」のバイブルだ。

鈎足法則とは

鈎足画像鈎足罫線は日本に古くから伝わるもので、ある一定の値幅を決め、その日の終値が最後に引線された日の終値に対して決められた値幅以上の値動きがあったときに引線する特殊な罫線だ。
値幅以上の値動きがあったときだけ引線するので、値動きの大きいときはしばしば引線し、小動きのときはしばらく引線しないこともある。
棒足(ローソク足)罫線図と違い、横軸は時系列ではないことに注意していただきたい。また、柴田鈎足は価格帯によって値幅が異なることに特徴がある。

鈎足法則は、そのように引線された罫線図がある一定のルールにあてはまったとき、「買い」「売り」のそれぞれ4法則が出現するというものだ。考え方の原点は棒足法則と同様だが、ソフトウェア等で機械的に法則出現を確認できるため(右図「柴田罫線 PRO」画像参照)、広く普及している。

柴田鈎足の値幅と引線方法については次号で詳しく紹介したい。


「法則出現」と「2法則で転換」について

「2法則で買い転換」「2法則で売り転換」と「買い法則出現」「売り法則出現」との違いについて理解しておこう。 「法則出現」とは、棒足順張り48法則、逆張り48法示、鈎足4法則のいずれかの法則がそれぞれの罫線図上に現われることをいう。一つしか出現しない場合もあれば、多くの法則が重なって出現する場合もある。しかし、それぞれの法則にはその法則の強弱や適用してはならない注意等があり、これを自由自在に使いこなし売買するまでにはある程度の勉強が必要だ。  
これに対して、「2法則で転換」は以下の条件で機械的に「買い転換」「売り転換」をとる方法である。

棒足買い法則 +  棒足買い法則
   → 2法則以上の同時出現で買い転換

棒足買い法則 +  鈎足買い法則
   → 2法則以上の同時または連続出現で買い転換

鈎足買い法則 +  鈎足買い法則 
   → 2法則以上の同時または連続出現で買い転換

※ 棒足法則とは順張り48法則をいう。
※ 売り転換は上記に準ずる。
※ 棒足2法則の連続出現もありうるが、現在は用いられていない。 ※ 棒足法則と鈎足法則の連続出現は、週足罫線図上で棒足法則出現の前後1〜2週程度の間に 鈎足1法則以上の出現で転換と考える(中長期の投資スタンスとして考えた場合)。

実際の罫線図でこれを説明しよう。
日本トムソンの鈎足は2002年5月8日に「ろさ、ろあ売り」法則の出現で売り転換した。鈎足2法則の同時出現での転換だ。
しかし、鈎足2法則での転換判定だけでは転換をとるのが遅れてしまうことがある。V字型の回復を罫線図が描く場合などだ。
過去の罫線図に買いの法則が出現するような軌跡をまったく描いていない時、急転上昇しても、鈎足2法則が出現するまである程度の時間がかかってしまう。上昇下落を繰り返す中であるきまった形を描くと出現するのが鈎足法則だからだ。 そのような時には棒足罫線図に斜線を引くことによって、転換判定をより早くとることができる。

6480画像

日本トムソンの週足は2001年9月21日に上値斜線を陽線の実体で上に切る「いき買い」法則を出現させた。
その4日後の25日には鈎足「ろゑ買い」法則が出現し買い転換となった。鈎足2法則で転換を判定するには11月5日の「ろさ、ろあ買い」法則の出現を待たなければならず、棒足法則とあわせての転換が、より有効であることが理解されよう。
この「2法則で転換」という考え方は、「柴田罫線」の継承者である谷畑p昭先生が考案された「谷畑流売買法」である。わかりやすいため広く普及している転換判定のとり方だが、ともすると「法則の出現」だけに目がいってしまい、結果的にうまくいかなかったりする場合がある。
その多くは相場の基本的な流れを無視した売買からおこる初歩的なミスである場合であるようだ。ぜひ「柴田罫線を学ぶ」シリーズで、相場の基本的な流れについて復習していただきたい。
「柴田罫線」の導入段階では「2法則で転換」を尊重するのがわかりやすく、間違いが少ないのは事実だ。しかし、多くの罫線図を見て売買を繰り返すうちに、もっと精度を高めることが可能なことに気づくはずだ。そのときは「法則の出現」の意味を噛み締めるためにも「天底と転換罫線型網羅大辞典」をじっくり読んでいただきたい。

学ぶポイント

・「柴田罫線」導入時 → 2法則で転換をとる (谷畑流売買法)
・次のステップ → 法則は重なれば重なるほど有効である (柴田秋豊)

棒足法則と鈎足法則

よく、棒足法則と鈎足法則のどちらからはじめるのがよいのか――という質問がある。その際には、棒足法則から始めるよう回答している。
しかし実際には、機械的に「買い法則」「売り法則」が出現する鈎足法則から始める投資家がほとんどである。「天底と転換罫線型網羅大辞典」は難しそう、鈎足はソフトウェアで買い法則、売り法則が簡単に確認できる、という理由からだ。

しかし、ファンダメンタルズだけを信奉してきた投資家が急に鈎足罫線を覚えたとしても、機械的に出現する法則を有効に活用しきるのは難しい。安値から高値、高値から安値に至る相場の基本的な流れを理解していないからだ。相場の基本的な流れは、各法則を覚える以前の重要な考え方として「天底と転換罫線型網羅大辞典」の中で何度も繰り返し解説されている。

この「柴田罫線を学ぶ」シリーズでは、その最低限知っておかなくてはならない基本事項を勉強する。鈎足法則から勉強されるお客様はもちろん、棒足法則から勉強されるお客様もこのシリーズの内容をしっかり学んでいただき、有効に法則を活用していただきたい。

学ぶポイント

・鈎足法則は基本的な相場の動き(「柴田罫線を学ぶ」シリーズ)を理解すると、より有効に活用できる。

では、実際に柴田秋豊先生はどのように法則を伝授していたのだろうか。
「天底と転換罫線型網羅大辞典」は、法則の伝授ついて以下のように順番を定めている。

  1. 棒足順張之巻 ---------- (昭和31年刊)
  2. 棒足逆張之巻 ---------- (昭和32年刊)
  3. 鈎足之巻 --------------- (昭和33年刊)

「柴田罫線を学ぶ」シリーズで基本事項を学ぶ。しかし、それは「天底と転換罫線型網羅大辞典」のごく一部であることはわきまえておいてほしい。
鈎足法則から勉強されて売買を繰り返していくうちに、自分の株価観測に疑問が生じたら、上記の順番でじっくり勉強することをおすすめする。柴田秋豊先生は次のようにも述べている。

「法則は順番に覚えると記憶しやすい。途中から読んだ場合には、その株価観測に誤りを生ずることもありうる。」

「柴田罫線を学ぶ」シリーズをPDFファイルでダウンロードする場合はこちらから

第2回
目次
第4回