第7回斜線法の考え方

「斜線を切る」の意味を知る

図1

【図1】 「柴田罫線を学ぶ」シリーズ第6回では斜線の引き方を説明した。今回はその斜線を切るということについて学んでみよう。
罫線図は売り方と買い方の戦いの軌跡であるといってきた。売り方が強ければ株価は下落するが、同じ下落でも力関係によって急な下落となったり、ゆるい下落となったりする。その力関係はある一定の期間、続きやすい。それをあらわしているのが斜線だ。

そのような売り方と買い方の力関係が変化する地点、つまり株価の流れが逆転するところが斜線を切るところである。下降トレンドだった場合は上値斜線、上昇トレンドだった場合は下値斜線を切るところ、あるいは保ち合いの上値線または下値線を切ったところから、株価の流れがそれまでとは違う方向に動きだす。「柴田罫線」は、そこを最も重要なポイントとしてとらえられているのである。

それまでの相場の「流れを断ち切った」と認められる斜線切りは「天底と転換罫線型網羅大辞典」の順張り48法則の基本だ。だから、斜線を切る際には緊張しなくてはならないのである。どのような形で、どんな力が斜線を切ってくるのかを注意深く観察するのである。下降トレンドだった場合は、陽線の実体で切らなくてはならず、それ以外は認めないというように厳密に定義されているのも、それだけ重要だからだ。

学ぶポイント

斜線を切るとは、それまでの株価の流れが断ち切られたということである(売り方と買い方の力関係に変化が生じること)。
→斜線切りのときに注意すること。


【1】どのような流れか――
・上昇トレンド中の下値斜線、下降トレンド中の上値斜線、保ち合い線
・大きい流れ、中期的な流れ、目先の流れ


【2】どのような位置か――
・若い相場なのか、老境の相場なのか

【3】どのような力か――
・陽線の実体で切っているか。切ったかどうかわからない程度の場合は見送る

「斜線を切る」が原則である

「天底と転換罫線型網羅大辞典」順張り48法則を順番に学んでいくと、一番はじめに出てくる法則が「いき」型である。法則書を勉強し始めた方は、「いき」なら簡単だが――と言うことが多い。しかし、この斜線切り「いき」法則が順張り48法則の基本であり、最も奥が深い法則なのである。斜線を切らなければ「買えない」し「売れない」のである。

学ぶポイント

・斜線切りが「柴田罫線」の原則。
・斜線を切らないでトレンドに変化が生じることはありえない。


最後に注意をしよう。斜線を切れば全ての罫線は上昇(下降)に転ずるわけではない。「天底と転換罫線型網羅大辞典」には次のように書いてある。 「ある法則を罫線図で照合したとき、法則どおりに相場が進んでいないことがあるかもしれない。法則と違うという疑問が生じるのは、まだ法則のすべてを習得していないからである。全巻(順張り48法則)さらには第2巻(逆張り)を熟読すると、その疑問は自ら氷解するはずである。」

どこで買えばリスクが小さいのか

図2画像

【図2】  株価が上昇(下降)する際には、段をつけながら上昇(下降)するということを「柴田罫線を学ぶ」シリーズ第5回で説明した。

今回は前述の斜線切りの説明をふまえて、どこで買い出動すればリスクが少ないのかということを説明する。図2のAの位置をみていただきたい。底の位置での斜線切りだ。しかし、これは株価が上昇したあとでわかることで、実際にはAのように十分下落したと思われるようなところで上値斜線を切ってきた場合でも必ず上昇するとは限らない。なぜなら、長期的な下げトレンド中の戻り局面になる場合も少なくないからだ。

図3画像

【図3】  図3のNTT週足罫線図を見てほしい。○で示したあたりは、いかにも底に見えるが、結果的には下降トレンド中の戻りとなっている。底を狙うということには、それなりのリスクがともなうのだ。

次に、図2のAの位置から上昇に転じた株価が、押しに転じて段をつける際の一般的な形を説明する。
株価が上昇に転じたら、下値斜線を引くことになる。その斜線を陰線の実体が下に切った時には、上昇中の一つの段の形成が完了する可能性が出てくる。図2のBが示しているところだ。
図2のA、B、C、Dの位置に株価があるようなときには、買いや売りの「法則」が出現したり「売買転換」したりすることが多くなる。そのようなとき、斜線切りの観測に不安があるときには、鈎足法則の出現、あるいは鈎足2法則の出現による転換(※注意)を待って、より確実に「トレンドの変化」を捉えることができる場合がよくある。
Bの位置で下値斜線を切って、鈎足売り法則が出現したりした後の株価を観測していくと、保ち合ったり、下落に転じたりすることがある。株価が下落しつづけて、前安値まで下落したときは大きな上昇トレンドへの移行は失敗し、再度「底」に戻ったものと考えることになる。(図4)

ニの膳につけ

図4画像

【図4】  そうではなく、ある程度下落した後、また上昇に転じて上値斜線を陽線の実体で上に切った場合には、2段目の上昇に入ったと考えられる。図2のCに示すところだ。  この位置においても、鈎足による買い法則の出現、鈎足2法則の出現(※注意)による買い転換を確認することにより、より確実に上昇トレンドを捉えることができる。
柴田先生は、「相場は一の膳より二の膳につけ」と述べているが、このような「二の膳相場」に乗ることが最も確実性が高い投資法といえる。柴田先生は延べ5000年以上の罫線図を研究し、次のような数字をはじき出した。

1段で止まる割合      : 10%
2段以上を形成する割合 : 90%

一般投資家が多く参入すると言われている上げ相場の3段目以上に対して、2段目は機関投資家等のプロフェッショナルが手がけるともいわれる。急激かつ短期に急上昇することが多いとされる上昇相場の2段目にねらいをつけて投資をすることをすすめる。リスクは明らかに軽減されるであろう。

※注意 過去の値動きから「売り」「買い」の法則を出現させる鈎足法則は、突然の急騰、急落に対しては2つの法則を出現させない場合が多い。V字型の罫線図描くとき、急騰、急落時には鈎足2法則の転換を待つとタイミングを逃す場合もあることに注意しておく必要がある。

学ぶポイント

底はとるのが難しい
→底は下降トレンド中の戻りになりやすい

相場は一の膳より二の膳
→中長期投資スタンス(3ヶ月から1、2年)ならば、週足罫線図においての斜線切り+機械的に出現する鈎足法則を有効とする

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