第13回利益確定の方法―段上げ段下げ法、関門観測法

利益を確定させる――段を見る  

せっかく安値で買っても、どこで売ったらよいかわからないとい投資家の方は多い。「天底と転換罫線型網羅大辞典」は、利益確定を行なうための様々な法則を紹介している。ここでは、そのうち段の考え方と関門に基づいた利益確定法を簡単に説明してみよう。  三段以上の上昇を観測した相場においては、基本的には鈎足1法則以上+下値斜線切りで利益を確定させるのがよいだろう。もちろん、関門となる株価の位置は常にチェックする必要がある。この関門については次項で説明する。

ネットメンバーサービス「柴田秋豊の罫線」の画面を使って具体的に説明してみよう。下のペンタックス(東証1部7750)の週足罫線を見ていただきたい。ペンタックスの週足罫線は2001年9月から2002年2月にかけて底値圏で図示したような逆三像をえがいている。これは棒足法則の「いえ」型となる。その後、図に示したような三段上げを演じ、株価は6月には272円の高値をつけたのである。

その後、株価は下落を始めるわけだが、ここで、鈎足法則(次ページの鈎足罫線図を参照)だけで売り転換を判断すると、6月26日の「ろゑ」売りに、200円手前の「ろあ」売り法則の出現(9月3日)を待たなくてはならない。このような場合には、「下値斜線切り」+「鈎足売り法則一つ以上の出現」で、売り転換として捉えると売り転換の判断を早くすることが可能だ。
ペンタックスの週足罫線にAのような下値斜線が引けるので、この下値斜線を陰線で下に切った7月12日に「いき」売りと判断し、6月26日の「ろゑ」売りとあわせて売り転換と判断し、この時点で利益を確定するのである。

ペンタックス画像

学ぶポイント

●三段以上の上昇で、老境に入ったと判断したら「下値斜線切り」+「鈎足売り法則1つ以上の出現」 で利益確定。
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●利益を確定させる――関門を見る●
例えばITバブル時のソフトバンクのように青天井のように急上昇した場合には、急落に転じてからの「売り場」が少ないので迅速な対応が必要となる。ここでは段上げ、高値の関門という考え方も使えないからである。このような時は、先に説明したように、鈎足のみでの「売り転換」を待っていては急落に間に合わない。必ず棒足法則と組み合わせての判断が必要となる。

次に、関門観測法で利益確定のメドをつける方法を紹介する。もう一度、前ページのペンタックスの週足罫線を見てほしい。三段上げ後に鈎足「ろゑ」法則+棒足「いき」法則で売り転換し下落した株価は、前安値の関門付近で再び逆三像をえがいた(1月27日のネットメンバーサービス「マーケットウオッチ」で紹介)。低位株相場の流れに乗って、わずか2週間で前高値の関門付近まで急上昇した。このような場合には、先に述べたような三段上げ後の下値斜線切りという考え方は使えないことになる。

そこで登場するのが関門観測法である。利益確定という目的に即して、原則を述べると「株価が前高値付近に達したら、十分注意して相場を観察し、売り法則が出た場合は利益確定を考える」ということになる。

現在の鈎足罫線、週足罫線でみれば売り法則はまだ出現していない。ネットメンバーサービスでは、画面のように関門を一定の幅で設定することも可能であるし、注目銘柄に登録することによって、鈎足法則による転換に加えて、週足に設定した斜線を切ったり、設定した関門の範囲内で法則が出現した場合には、転換の表示に反映される。
また、先行観測機能(上の鈎足罫線図のBの部分)を使えば、ここから下げて前安値を2文切れば「ろゑ」売り法則が出現することはたやすくわかる。 以上、せっかく買ったけれどどこで売ったらよいかわからないという人のために、わかりやすい2つの方法を簡単に紹介した。

学ぶポイント

●株価が前高値(高値の関門)付近に達したら十分注意して罫線を観測 売り法則出現で利益確定のチャンスあり

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