第16回関門観測法の応用

関門観測法の応用――ボックス圏での売買

第15回では、利益確定のひとつの方法として関門観測法を勉強した。今回は、ひとまず利益確定法から離れ、この関門観測法を応用した売買法を紹介しよう。
柴田秋豊先生の著した『転底と転換罫線型網羅大辞典』では、保ち合い8割、動き2割と述べられている。実際の相場では、保ち合いが8割というのは極端としても、現実の相場では、保ち合いがよく現れることはまちがいない。
昨年の10月から2003年2月下旬までの日経平均株価のように、ある一定の値幅の中での動きを保ち合いと呼ぶ。このような動きをする場合、鈎足では、売り買いの法則が交錯し、保ち合いの幅が狭い場合には、なかなか利益に結びつかない場合が多い。

今回紹介するのは、保ち合い相場(ボックス圏ともいう)と判断した場合に、保ち合い圏では、安値から反発し、高値から反落するという性質を利用して、関門観測法による売買をあてはめるのである。

ここで述べられているのは「ボックス圏で推移する銘柄に注目し、ボックスの下値で買い、上値で利喰う」という手法である。つまりボックスの安値が関門観測法の安値の関門にあたり、ボックスの高値が、高値の関門にあたる。このような売買手法は、相場が膠着状態に入り、保ち合いと判断された場合に有効な手段となる。
ただし、3月初旬からの日経平均のように、保ち合いを下放れることもあるため、100%これにしたがって勝てるわけではない。あくまで、下放れに対するリスクを予測した上で試みるくらいの気持ちは必要だ。

サンプル

⇒赤の下線部分が、保ち合いにおける関門観測法の売買手法とそのリスクを紹介している記述部分にあたる。
⇒赤の○で囲んだ部分がボックス圏の安値を示す部分。

学ぶポイント

●株価が保ち合いで推移していると判断したら、関門観測法を応用
  ⇒保ち合いの安値で買い、高値で売る

●安値で買った場合
   ⇒保ち合いの下放れには注意

関門観測の応用――循環銘柄を探す

上で紹介した手法を使った銘柄探しの実際をみていこう。まず、ここ数年保ち合って、株価が一定のレンジ(幅)で動いている銘柄を丹念にさがしていく。これは、弊社の商品であれば、「柴田法則PLUS」や「ネットメンバーサービス」などで月足あるいは週足をチエックすることで可能となる。
これらの商品をお持ちでない方でも、インターネット環境があれば、週足や月足のチエックは可能だろうし、パソコンをお持ちでない方であれば、チャートブックを活用してもよい。
いくつかの候補を探し出したら安値の関門(ここが買い時のサインとなる)と高値の関門(ここが利喰いのメドとなる)を設定する。あとは、株価が設定した安値の関門にきたら買い、高値の関門付近まで上げたら売る、を繰り返していくことになる。

実際の例を一つ挙げておくと、下の関西ペイントの罫線がこれに該当する。関西ペイントの月足罫線をみると、1998年〜2003年の5年あまり、株価は220円前後を安値とし、380円付近を高値とするボックス圏を形成している。このような銘柄の場合、220円付近まで下げたら上値斜線切りなどの買い法則で買い、380円付近まで上げたら下値斜線切りなどの売り法則で売る、を繰り返すことで一定の利益が得られるのである。

もちろん、前ページでも述べたように、220円付近を下放れた場合には、手を出してはいけないのはもちろんである。 日経平均、TOPIXといった主要指標や、業種別平均などの指標が、上にも下にも動かずに保ち合い相場になった場合には、このような循環銘柄に注目して売買を行うといった手法も、有効と思われる。

ネットメンバーサービス「柴田秋豊の罫線」の関西ペイント月足画面
ASP月足画像

学ぶポイント

  1. ある一定の期間保ち合っている銘柄を探す
  2. 保ち合いの安値で買う
  3. 保ち合いの高値で売る ⇒保ち合いにおける関門観測法の応用

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