第20回保ち合い放れの考え方

保ち合いの法則――上放れ、下放れを待つ

株式投資を行なっていると、株価が動かない時間に比べて、株価が大きく継続的に動く時間は少ないと感じることがある。柴田秋豊先生は、法則書の中で「動いている日数は2割程で、動いていない保ち合い相場が8割」と述べている。
実際に罫線図を確認すると、底で保ち合う場合、天井で保ち合う場合のほかに、上昇トレンドの中での、中段の保ち合い等も多くあり、その部分が「段」の終了となっている場合もある。図のソニーの日足罫線でもそれが確認できる(□で囲まれた部分は保ち合い)。

ソニー(東1 6758)日足
6758罫線図

学ぶポイント

●相場の動きは保ち合い8割、動き2割と言われる
●保ち合いに移行したと判断できたら鈎足罫線図から離れて、週足罫線図を観察
→保ち合いから放れるのを待つ

保ち合い放れの位置にも注目する

下のユアテック鈎足のように、買い法則、売り法則が頻繁に出現したり、買い転換、売り転換が何度も繰り返されたりする鈎足罫線図を見ることがある。そのような場合には週足罫線図、または月足罫線図を参照してほしい。株価が保ち合い中である場合が多い。

ユアテック(東1 1934)鈎足
1934画像

ユアテック(東1 1934)週足
1934画像2

保ち合い中の鈎足罫線図では、買い法則、売り法則を交互に出現させて、買い転換、売り転換を繰り返していることが確認できる。このような場合、週足罫線図を参照してみると、ある一定の価格帯の中を行ったり来たりする保ち合い相場であることがわかる。
保ち合い相場は、売り方と買い方の力が拮抗している状態である。買い法則、売り法則の双方が次々に出現する。そのような状況の時は、週足罫線図に図のように線を引いてみるとよい。
保ち合いはそこから放れるときに大きく動くことが多いと法則書は述べられている。ユアテックの場合なら上値抵抗線を陽線の終値で上に切った時に買い出動すべきで、保ち合い中の売買は、控えた方がよいのである。
柴田先生は「法則が出現した際にその法則を適用するか否かは、その法則が出現した位置による」と述べている。

下落トレンドに入ったばかりの「下げの若い相場」と、十分に下落した「下げの老境の相場」では、法則の捉え方が全く違うのである。一例をあげるなら、下げの老境で株価が保ち合い状態になったとき、その下値斜線を切って株価が下に放れたとしても、その際の空売りは控えた方がよい。むしろ、反転上昇する保ち合い放れの法則の壊れ型になりやすいからである。

また、若い上げ相場中であるならば、保ち合いは「段」を形成する区切りとなりやすいので、上に放れたときをうまく捉えるようにするとよい。もし、下に放れたら様子見のスタンスに変更する。いずれも、少しでもリスクを低く押さえるための注意事項である。
以上、保ち合いについて簡単に説明したが、この保ち合い放れはだれにもわかりやすい法則である。 ぜひ実際の罫線をみながら使ってみてほしい。

学ぶポイント

●保ち合いを放れた場合には、その放れた位置をしっかり認識する必要もある

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