第23回投資スタンスと罫線図

投資スタンスと罫線図

第23回では、「棒足罫線図は月足、週足、日足のどれをみたらよいのか」という質問に答える意味で、投資スタンス(短期での投資、中期での投資、長期での投資)と罫線図(鈎足、日足、週足、月足)の関係について勉強していくことにする。
柴田秋豊先生は主に棒足法則をとりあげた「天底と転換罫線型網羅大辞典」の中で「法則は全ての罫線に適用できる」と述べている。半日足、日足から年足はもちろん、その対象も株式から商品取引まで、全てに有効であるのが柴田罫線棒足法則なのである。

おおよその目安としては、日足は短期投資(期間の目安として1週間から3か月程度)、週足は中期投資(3か月から2年程度)、月足は長期投資(6か月以上)を行なう際の中心的な罫線図と考えればよいだろう。
では、前回取り上げた鈎足はどうだろうか。鈎足罫線図はその日の終値を基準に、一定の値幅以上に株価が動いた時だけ引線される特殊な罫線図である。値動きがないと、1か月で2〜3本しか引線されないことも珍しくない。そのため、鈎足罫線は、目先の細かい動きよりも、どちらかというと中長期の投資に向いた罫線ということができよう。

だから、鈎足罫線図だけを利用しての投資スタンスは短くて1、2か月、通常は3か月から1、2年の投資スタンスとなり、同時に用いる棒足として相性が良いのは週足罫線図となる。
それでは、実際に投資(現物買いの株式中長期投資)を行なう際には、どのように罫線図を見ていけばよいのだろうか。その方法の一例を紹介しよう。

  1. 週足罫線図を見て、現在のトレンド、株価の位置を判断する。棒足法則の「いき」型の確認、それ以外の法則を知っているのならばその法則も確認してみる。
  2. 鈎足罫線図を見て、鈎足買い法則の出現、鈎足買い転換の確認をする。ネットメンバーサービス「柴田秋豊の罫線」や「柴田法則PLUS」を使っているならこの確認は容易だ。また、あわせて先行観測機能を利用し、近い将来に買い法則が出現する可能性についても確認しておくとなおよい。
  3. 月足罫線図を見て、もう少し長いスタンスでのトレンドを確認してみる。例えば、週足罫線図では上げトレンドであるように見えても、月足罫線図では下降トレンドの戻りと判断できる場合がよくある。過去の関門もチェックしてみるとよいだろう。
  4. 銘柄を選定し、いざ購入しようとする銘柄を決めたら日足罫線図を確認する。その際、目先の株価の動きの中から、より有利なところで買い注文を出すようにする。ただし、目先の動きに惑わされたくないという方は、「週足斜線切り」+「鈎足買い法則の出現」等を目安として、翌週の寄り付きで機械的に買いを入れるとよい。

学ぶポイント

●投資家によって投資スタンスはそれぞれ異なる
          ↓  
自分の投資スタンスにあった罫線図を使用するとともに他の罫線図もチエックすることが大切。

罫線図の使い分けの実例

上で述べた注意点を具体的に罫線図を示しながら説明してみる。下記の罫線図はNTTの月足、週足、日足である。丸で囲んだ部分は全てほぼ同じ時期をあらわしている。日足罫線図だけを参照して銘柄を選定することも可能であるが、たとえば株を長期に持ちつづけて大きく利食う投資を目指すような方針の投資家が、この日足罫線図だけを見て購入することはたいへん危険な場合もある。
日足罫線図だけで購入する投資家のスタンスは短期売買であり、日足の上値斜線を切ったところで買いを入れ、下値斜線を切ったところで利益を確定する、そのようなすばやい行動が求められるのである。

NTT(東東1 9432)月足
9432

NTT(東東1 9432)週足
9432

NTT(東1 9432)日足
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もちろん、短期投資には高いリスクがともない、下げトレンド中の小さな戻りとなった場合にはすぐに損切りをすることになってしまう。また、この方法は1日中相場を見て値動きを監視できる人にしかできないといえる。  長期方針で大きな利をねらいたい投資家は、月足罫線図を中心に相場を観測する必要がある。日足で45万円から60万円までの上昇が、月足で見れば急角度の下落トレンド中の戻りであることは、だれがみても明らかであり、それは週足でも確認が可能だ。

日足罫線図では、バブル後の安値の関門でわずかに反転したものの、月足・週足罫線図ではとどまることなく関門を下につき抜け、40万円付近までの下げをみているのである。 このように、それぞれの投資スタンスによって罫線を使い分けていく必要がある。こまめに株価をチエックできる投資家であれば、NTTのように値動きのある銘柄であれば、日足罫線を使って1か月あまりである程度の利益を出すことも可能である。自分の投資する銘柄によって罫線図を使い分ける工夫をしてみるのも面白いかもしれない。

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