第24回全体のまとめ

いままでのまとめ

いよいよ1年間にわたってお届けしてきた「柴田罫線を学ぶ」シリーズも最終回を迎えることとなった。いままでの23回で読者は「柴田罫線」の基本的な考え方、棒足法則および鈎足法則の考え方と実際の応用の一端を勉強したことになる。柴田秋豊先生が書き著した『天底と転換罫線型網羅大辞典』には、単に法則のパターンの解説にとどまらず、実際の相場で罫線を読む力をつけるための様々な解説が随所に盛り込まれている。さらに深く学んでみたいという方は、ぜひ『天底と転換罫線型網羅大辞典』を読まれることをお勧めしたい。

第24回では、今までの復習をかねて「株式の中長期現物買い」を想定したまとめを掲げておきたい。 関連項目も掲げておくので、よくわからないところがあれば、もう一度読み返していただきたい。

  1. 大勢(日本株全体)の流れを把握し、十分に下落した下げの老境、あるいは上昇トレンドの若い相場であることを確認する。(基本的にはそれ以外は休む。 それでも投資する場合には、2.からとなる。)
    ⇒第9回「若い相場、老境の相場とは」

  2. どのような銘柄群が上昇しているのか「テーマ」をつかむ。それらの罫線図を複数銘柄選定する。
    それぞれ週足・月足罫線図にて、位置関係の把握、トレンドの把握を行なう。
    ⇒第11回「森をみて林をみて木をみる」
    ⇒第12回「自分の身を置く「林」をしっかり認識する」

  3. 相場が1段目を形成し、2段目をうかがいはじめた銘柄を選定する。
    鈎足買い法則の出現または買い転換表示の出現、そして上値斜線切りを基本として選定する。
    「柴田法則PLUS」を利用している場合には先行観測機能を活用する。陽線の終値で斜線を切った週の前後2週程度の間に鈎足法則が出現すれば「買い転換」をとる。
    ⇒第7回「どこで買えばリスクが小さいのか」

  4. 出動の際には、週足・月足罫線図で関門をチェックし、目標株価を設定する。思った方向と逆に動く場合も想定し、損切りする株価も設定する。(おおむね10〜20%)
    ⇒第8回「分割投資と損切り」
    ⇒第13回「利益を確定させるー関門を見る」
    ⇒第15回「関門観測法」

  5. 2段目終了を、下値斜線切りおよび鈎足売り法則の出現で確認したら、再び大勢がどのような位置にあるのかを確認する。購入している銘柄が属している「テーマ」がどうなっているのかも確認する。業種別指標または「テーマ」として捉えている銘柄群の罫線図を確認する。
    「テーマ」内の銘柄が、すでに下落に転じている場合が多かったり、多くの銘柄が上げの老境に達したりしている場合には、「テーマ」の終了とも考えられるので利食いを検討する。そうでない場合であっても状況に応じ、一部利益確定をしてもよい。
    ⇒第11回「森をみて林をみて木をみる」
    ⇒第12回「自分の身を置く「林」をしっかり認識する」
    ⇒第13回、第14回「利益の確定方法」

  6. 3段目以上の上げの老境で下値斜線切り及び、鈎足売り法則の出現を確認したら、(特に、その位置が過去の高値の関門であったり、青天井で急上昇した場合には)利益を確定させる。
    ⇒第9回「若い相場・老境の相場とは」
    ⇒第13回、第14回「利益の確定方法」  

    以上、中長期の現物買いに的を絞って6項目にわたって重要項目をまとめてみた。

現在の相場状況は

最後に、現在の相場状況(2003年8月14日現在)について簡単に触れてこの「柴田罫線を学ぶ」シリーズ24回を終了したい。下に掲げた日経平均および低位株単純平均の週足罫線図をみてほしい。

日経平均週足
日経

低位株単純平均週足
低株

まず、日経平均についてみてみると、2003年4月28日の安値7603円から、1万円付近まで上昇し、現在は、そこからの調整局面にある。鈎足では売り法則が出現し、8800円付近までの下落も予想される。  一方、低位株単純平均は、例年高値をつける5月を超え8月現在に至るまで高値の関門付近でのもみ合いが続いている。個別の低位株を見る限り、高値の関門付近まで上昇し、いつ調整してもおかしくない状況にはなっている。

この両指標を見る限り、現在は新たに買い出動するという相場ではないようだ。いったん、押し目が入り、そこから反発したところを拾う、あるいはもう一度安値の関門付近まで下げたところでの買い転換を狙うほうがリスクは格段に小さいといえよう。

ここからしばらくは、相場を(罫線を)しっかり観察し、いままで勉強したことをしっかりと復習して頭に入れてほしい。今後、日本株の相場がどのような展開になるかはわからないが、その時々で、この「柴田罫線を学ぶ」シリーズで勉強したことが役に立つときもあると思う。このシリーズの読者が、一人でも多く「柴田罫線」に興味をもっていただき、株式投資に応用していただければ、このこの「柴田罫線を学ぶ」シリーズも意味のあるものとなるだろう。   長い間、本シリーズをお読みいただいたことを感謝し、最後の言葉としたい。

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第23回
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