第6回罫線図(チャート)の見方

罫線図で、まずみるべきこと

チャート画像罫線図(チャート)をみたとき、一番はじめに何をしたらよいのだろうか。「柴田罫線」を使いこなしている人なら、棒足罫線図に斜線を引くことからはじめるだろう。
「天底と転換罫線型網羅大辞典」は、順張り48法則を解説する前に、斜線の引き方を詳しく説明している。斜線を引くのは、現在の株価が、どのような流れの中のどのような位置にあるのかを知るためだ。目先の流れはどうか、中期的な流れはどうか、長期的な流れの中での現在の株価はどうか、といったことを判別するのである。

はじめて「柴田罫線」を知った方も、斜線の引き方は覚えていただきたい。
右図に示すとおり、斜線は棒足罫線図のローソク足に注目し、突び出たヒゲとヒゲを結ぶように引く。とび出たローソク足にヒゲがない場合には実体(週足ならその週の取引開始値から取引終了値にかけての部分)の中心にあわせて引くのが原則である。株価が上昇中の場合には下値斜線、下降中には上値斜線を引けばよい。何回か斜線を引いていると、目先の斜線、大きな流れの斜線と、いくつかの斜線を引くことができるようになるだろう。

学ぶポイント

・斜線を引く。

  1. 一番とび出たヒゲとヒゲを結ぶのが基本。
  2. ヒゲがない場合には実体の中心にあわせる。
  3. 株価上昇時には下値斜線、下降時には上値斜線を引く。
  4. 斜線は何度でも引き直すもの。
  5. 目先の流れ、中期的な流れ、長期的な大きな流れ、それぞれに斜線を引く。

トレンド゙画像

投資スタンスを中長期(3ヶ月から1年、長くて2年以内の売買)とするなら、週足罫線図と月足罫線図に斜線を記入していただきたい。観測するのは相場の大きな流れである。
週足ならローソク足の本数が150本から200本程度(過去3〜4年分)の罫線図に斜線を引き、現在の株価が上昇トレンドの中にあるのか、下降トレンドの中にあるのか、あるいは上昇でもなく、下降でもない保ち合い中なのかを、まず判断してほしい。

次に、株価はそのトレンドの中でどんな位置にあるのか、例えば上昇し始めたばかりの若い相場の位置にあるのか、十分上昇しきった老境の相場の位置にあるのかを判断する必要がある。週足罫線図と月足罫線図を合わせて確認するとわかりやすいだろう。
柴田秋豊先生は、法則を適用する場合には株価水準がどこにあるのかを適切に判断しなさいと、至るところで強調している。また、「段」をつくりながら上昇する過程(上図)においても、上昇し始めたばかりの若い相場なのか、それとも3段以上の上昇を終えたような老境の相場なのかによって、法則は反対の意味にもなるときがあると述べている。これらの判断は、「柴田罫線」で相場を観測する場合には常におこなうべき必須事項である。

学ぶポイント

・株価が、どのトレンドにあるのかの判断をする。

  1. 上昇トレンド
  2. 下降トレンド
  3. 保ち合い

・株価が、どの位置にあるのかの判断をする。

  1. 上げの若い相場
  2. 上げの老境の相場
  3. 下げの若い相場
  4. 下げの老境の相場

どのくらい勉強すればよいのか

よくある質問の一つに「どのくらい勉強が必要ですか」というものがある。個人投資家の多くは、苦労しないで儲ける方法はないかと考えながら株式投資を行なっている。しかし、全く勉強をせずに利益を上げ続けるということはあり得ないと断言できる。それがわかっていても、どのようなことをどれほど勉強したらよいのか、迷う投資家も多い。

例えばファンダメンタルズ中心の投資法を行うのであれば、勉強量は限りなく多くなってしまうだろう。その会社の財務指標から経営方針、現状把握……さまざまな数字等から現在の株価水準に対する目標株価を算定し、利益が見込めそうなものに投資するのがファンダメンタルズでの投資法だ。当然、一人で分析できるのは数十社程度までが限界で、投資対象を新しい業種や会社に変更するのなら、はじめからやり直しだ。
やじるし画像それに対して「柴田罫線」は、罫線を引くことができる全ての相場に対応できる。もし、損失を出してしまっても「どうしてうまくいかなかったのか」をもう一度勉強し直すことによって、さらに力をつけることができるのだ。

「柴田罫線」で罫線図をみたとき、どのような状況にあるのかがみえてくるようになり、それがおもしろく感じられるようになるためには「天底と転換罫線型網羅大辞典」を勉強する必要がある。法則書の勉強をするならば、自動車免許を取得するときと同じ程度には勉強しよう。そのくらいの勉強をするなら、投資において必ずや良い結果を得ることができるであろう。

学ぶポイント

・何も勉強せずして常勝投資家にはなり得ない。
・「天底と転換罫線型網羅大辞典」なら運転免許を取得するときと同程度の勉強をすれば、投資行動に変化が生ずるであろう。

「天底と転換罫線型網羅大辞典」とは

「柴田罫線を学ぶ」シリーズは相場の基本的な流れを解説しているが、その考えの元となっている「天底と転換罫線型網羅大辞典」とはどのようなものなのかを簡単に紹介しよう。
柴田秋豊先生の手による「天底と転換罫線型網羅大辞典」は昭和31年刊の第1巻「棒足順張之巻」、昭和32年刊の第2巻「棒足逆張之巻」(解説書なし)と昭和33年刊の第3巻「鈎足之巻」(解説書は谷畑p昭著)が残されている。現在、広く「棒足法則書」といわれているものは、第1巻「棒足順張之巻」と第2巻「棒足逆張之巻」であり、「鈎足法則書」といわれているのが第3巻「鈎足之巻」である。
なお、「天底と転換罫線型網羅大辞典」を単に「棒足法則書」という場合も多い。

特に、500ページにわたり、相場の基本的な流れ、投資をおこなう際の心構え、順張り48法則の内容が詳しく書かれている第1巻は有名である(旧版)。「柴田罫線」で常勝投資家になるためには必須の1冊だ。

棒法則画像清光経済研究所は2001年10月に谷畑p昭先生の監修による「天底と転換罫線型網羅大辞典」の改訂版を発刊した。現在は、旧版と改訂版の2種類がいずれも同価格で発売されている。
改訂版の「天底と転換罫線型網羅大辞典」を発刊するにあたって、法則には一切手を加えておらず、法則解説の内容も変えていない。現在とは逆に右から左に描かれていた45年以上前のニューヨークの商品相場の罫線図などを見やすいものに改め、旧かな使いの文章をわかりやすい現代的な表記に書き直したのが改訂版だ。
「天底と転換罫線型網羅大辞典は永遠に古本にならない」という柴田秋豊先生の言葉は、全くその通りなのである。改訂版とは、わかりやすくなった法則書であるといえる。

では、「天底と転換罫線型網羅大辞典」にはどのようなことが書かれているのだろうか。  内容は48の法則説明と53の章に分かれている(逆張り48法示は解説なしで掲載)。法則説明とは、売りの力と買いの力関係の推移の結果、力に変化が生じた所を「売り法則」「買い法則」とした順張り48法則を解説しているものだ。さらに法則の内容と詳細な解説、多数の引例図、法則適用にあたっての注意事項の説明等からなっている。

53の章には法則に関する補足説明の他に、相場に対してどのように取り組めばよいのか、柴田罫線の考え方、相場の基本的な流れなど、「柴田罫線」で相場観測をする際に必要な事項が記述されている。はじめて「天底と転換罫線型網羅大辞典」を読んだ際でも納得させられる部分が多く、柴田秋豊先生の相場哲学を読むだけでも投資をおこなう上で大きな効果が得られる。「柴田罫線を学ぶ」シリーズは、この53章の内容を踏まえた上で、相場の基本的な流れを解説している。

学ぶポイント

・「天底と転換罫線型網羅大辞典」は――

順張り48法則の解説と、柴田罫線の考え方、相場の基本的な流れ、相場に対してどのように取り組めばよいのか、をわかりやすく記述してある53の章からなる。 
 

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