第10回柴田秋豊流の投資法とは

柴田秋豊流「柴田罫線」とは

図国内には数多くの「柴田罫線」を利用した会社が、様々な情報サービス、投資情報顧問等をおこなっている。それらの多くは「柴田罫線」の一部のみ(特に鈎足法則)を我流の投資法に加えたもので、柴田秋豊流「柴田罫線」とは程遠いものも少なくない。
それらサービスを受けている投資家が本当の「柴田罫線」を知らずして「柴田罫線」は使い物にならないという判断を下されることは非常に残念でならない。
しかし、実際には「柴田罫線」での銘柄紹介をうたっただけの投資顧問等はなくなる様子はなく、今後も痛い目にあう投資家はでてきそうだ。

清光経済研究所が随時開催している無料のセミナーや「柴田罫線を学ぶ」シリーズは、柴田秋豊流「柴田罫線」を正しく理解していただくよう「天底と転換罫線型網羅大辞典」に可能な限り忠実に解説している(注意:清光経済研究所の会長である谷畑p昭先生が提唱する、谷畑流売買法は区別して解説)。

右図に示すとおり柴田秋豊流「柴田罫線」のあとに様々な流派に分かれたと考えていただければわかりやすい。その中には柴田秋豊先生が生存されていたら「柴田罫線」とは到底認めることができないものもあると考えてよいだろう。これから「柴田罫線」を学び、利用したいのなら「柴田罫線」とは何かを正しく理解していただきたい。もし各流派の投資法を利用されるのならば、その後に判断するべきである。

学ぶポイント

「天底と転換罫線型網羅大辞典」より
罫線以外は、何ごとも考慮せずに観測せよ。

銘柄は何だろうと、社会の事情がどうであろうと、罫線(チャート)観測にそれらを加味するのは余分なことである。
余分どころか、それらを加味することは、罫線に対する冒涜(ぼうとく)であり、その観測に誤りを生じさせることになる。         ― 柴田秋豊 ―

●なぜ罫線図以外考慮しないのか●

柴田秋豊先生は長年の相場研究の中で、何が信用できるのか、何が株価を決定しているのかを冷静に分析し、次のような考えにたどりついた。
様々な社会情勢、企業ニュース等の材料がその日の株価をつくっているわけではない。それらの情報を知った一人一人の人間が実際に株式を売買して株価が形成される。つまり、株価をつくっているのは材料(ファンダメンタルズ)ではなく市場に参加している人間なのである。現在、日本の株式市場に参加している投資家のほとんどがプロフェッショナルな投資家だ。

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生命保険会社、年金の運用団体、銀行、証券会社の自己売買部門、そして株式の売買で生活をしているプロの個人投資家だ。日常生活の中で、ごく普通に仕事をしている会社員や主婦の割合は極めて少ない。
プロはありとあらゆる材料を瞬時に仕入れ、それを基に「売りだ」「買いだ」と判断し売買する。つまり、ありとあらゆる材料がプロの投資家(人間)を通して市場に織り込まれていくのである。我々個人投資家がプロに対抗して材料を追って「売りだ」「買いだ」をおこなっても対抗できるわけがない。

プロは膨大な情報から株価を動かす材料を四六時中必死になって探しているのだ。 「柴田罫線」の考え方は違う。様々な材料のひしめき合う相場に漬かってはならない。我々は、株が売られているのか買われているのかを冷静に判断し、それに逆らわないで投資チャンスを待つのである。株が売られているのか買われているのかをしっかりとあらわしているのかが罫線図(チャート)である。売りの力より買いの力が上回ったところをその罫線の形からとらえるのである。何がその理由なのかを探す必要はない。逆にその理由を材料から追ってしまうと、罫線図をみる際に憶測が入ってしまい正しい観測ができなくなるのである。

トヨタ自動車の利益が1兆円を超えても株価がなぜ下げるのか――(前頁下図)。売る人の力が強いからである。それ以上の何かがわかるわけではない。トヨタに係わるニュースはいくらでもある。アメリカのニュース、ヨーロッパのニュース、南米のニュース、国内のニュース、為替、株式の持ち合い解消問題、会社内のニュースも含め全ての材料が「トヨタは売りだ」「トヨタは買いだ」の基となる。しかし、そのニュース一つ一つがどれほどの影響を株価に与えたのかは時間が経たないと判断できないであろう。いや、時間が経っても正しい判断ができるとは限らないのである。

見るべきものは、現在売る人の力が強いのか、買う人の力が強いのか両者の力関係、そして株価が現在に至るまでどのように動いてきたかなのである。 学ぶポイント 相場(罫線図)には「世の森羅万象」が織り込まれている →材料が株価を形成するのではなく、 様々な材料を知った人間が株価を決めるからである。

「柴田罫線」と投資顧問業

買い銘柄、売り銘柄を紹介するのが投資顧問業だ。「柴田罫線」をしっかりマスターしている人が「柴田罫線」を使った投資顧問を利用されるのは問題ない。しかし、「柴田罫線」がどのようなものかを十分理解しない投資家が「柴田罫線」を使った投資顧問を利用する場合には十分注意していただきたい。
清光経済研究所は投資顧問業の資格を持っていない。個別銘柄の売買紹介は一切おこなっていないのである。あくまで個人投資家が自分の力で利益を得られるように、柴田秋豊先生の考え方を基に罫線図の見方を解説(法則書の販売、有料・無料のセミナー等)したり、罫線図を観測しやすいようにツールを提供(「柴田法則PLUS」、ネットメンバーサービス「柴田秋豊の罫線」)しているのが清光経済研究所である。

「柴田罫線」は何年後に日経平均株価が20000円になるとか未来を占うものではない。「柴田罫線」は現在の相場状況を正しく知るためのものである。現状の株価の位置(老若)を正しく判断し、売り(買い)の力が買い(売り)の力を上回ったところを的確にとらえるのだ。そうすればどのような方向に、どれほど株価が上昇(下落)するのかがシミュレーションできる。当然、反対法則が出現すれば状況に応じて対応しなくてはならない。「柴田罫線」は常に相場を観測し、その時その時の状況に応じてベストの売買判断を下すための道具なのである。

「柴田罫線を学ぶ」シリーズの第1回や第5回で「柴田罫線」の習得を自動車を運転することに例えてきた。投資顧問に銘柄紹介を受けることも同様に考えれば、自動車を運転できない人(「柴田罫線」で売買できない投資家)にアクセルの踏み方だけ教えて自動車を与えることに例えられるだろう。その後に重大な悲劇を生むことぐらい「柴田罫線」をマスターしていなくても誰にでもわかるであろう。

1日の中で売買するディトレード、1週間から1ヶ月の中で売買する短期投資、1年〜2年以上持ち続ける長期投資、その全てに適応できるのが「柴田罫線」である。 「柴田罫線」で株式を購入(売却)したのなら、どの罫線図(分足、日足、週足、月足)でどのような法則が出現した際に購入(売却)したかを把握しているはずだ。その際に抱えるリスク、目標となる株価、大きな流れ(大勢)も十分知った上でその後の株価の動きを観測していかなくてはならない。それがわかるようになった上で投資顧問を利用していただきたい。

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