第11回森を見て林を見て木を見る投資法

森をみて林をみて木をみる

利益を大きく上げている投資家に共通していえることは、相場の流れをつかむことが上手だということだ。昔から、相場は「森をみて林をみて木をみる」といわれている。多くの投資家は「森」である日本株全体はみているが、その後すぐに「木」に目がいってしまう。個別銘柄を追ってしまうのだ。利益を上げている投資家は違う。「森」をみたあとに「林」をしっかりとらえているのである。

日本株で投資をおこなおうとしたとき、まずみるのが日本株全体の流れ、つまり「森」(大勢)である。大きな流れは上昇基調にあるのか、下落基調にあるのかをTOPIXや日経平均株価等の指標の罫線図を観察することで判断する。ネットメンバーサービス「柴田秋豊の罫線」ならば、日経平均株価、TOPIXを含む6指標について最新の転換状況がいつでも確認できる。棒足法則を加味した解説は心強い限りだ。

次に注目する「林」とは何をさすのだろうか。大きい流れが上昇しているならば、その流れの中心にある銘柄群のことである。上昇中の銘柄群、下落中の銘柄群、株価が変動しない銘柄群・・・と相場はさまざまに分類ができる。これらの分類をうまくできる投資家は投資上手といえる。柴田秋豊先生は日本ではじめて業種別の指標を開発した。「天底と転換罫線型網羅大辞典」の中にもその重要性については明記してある。

ただし、注意していただきたいことがある。現在の上場株の業種分類で、例えば「サービス」という分類にはフジテレビ、日本テレビのような放送局から、日立ソフト、CTCのようなソフトウェア関係、さらには吉本興業までがひとくくりにされている。これを一つの「林」としてとらえることは、まずないだろう。 「林」をとらえる際には、もう少し広い目で相場をみる必要があるのだ。

現在、何が買われているのか、何が売られているのかを「テーマ」としてとらえるのである。「テーマ」そのものを罫線図でみることはできないが、「テーマ」をとらえられるかどうかが勝敗の分かれ目であるといえる。1日で消える「テーマ」も多いが、あるとき「テーマ」が継続的に買われ(売られ)、さらに「テーマ」が大きく育っていく場合がある。そして、大きくなった「テーマ」が「森」を動かすのである。

日経平均株価やTOPIXが保ち合い中であっても、その中での「買いのテーマ」「売りのテーマ」をきちんととらえることができれば利益を出すことも可能だ。市場関係者は常に「テーマ」が何かを気にし、口にする。しかし、「テーマ」は自身で見極めてほしい。新聞紙上で「IT相場」「都市再生相場」とはやされて、誰もがわかる「テーマ」になったときには、すでに「テーマ」は終局を迎えようとしていて、個々の銘柄は十分上げてしまっている場合が多い。

「テーマ」をくくる際、過去のくくりにこだわらないことも重要だ。「半導体」という「テーマ」ならば、半導体を製造している会社、取り扱っている商社、製造装置を作っている会社まで入ることもある。不良債権の多い会社という「テーマ」で売られ、その「テーマ」が波及してその会社の主要取引銀行が売られる「テーマ」に発展したりもする。  相場の大勢が上昇トレンドに入ったと判断した際に投資する銘柄を、「テーマ」に沿った銘柄に絞り込むことにより、より大きなパフォーマンスを得ることができるのだ。

学ぶポイント

〜「テーマ」のとらえ方:
     「柴田罫線」をはじめたころは― 〜


「テーマ」のヒントはあらゆるところにある。例えば新聞紙上では、その日の買いのテーマ、売りのテーマが記載されている。実際に罫線図を確認して、今後自分で注目していく「テーマ」を絞る。それを継続的に観測することも「テーマ」をとらえる一つの方法だ。

日経新聞

〜 「テーマ」のとらえ方:
     「柴田罫線」を使いこなしはじめたら― 〜


上昇中、下落中の罫線図をソフトウェアやネットメンバーで検索し、同じような罫線型の(例えば、同じように段を描くような)銘柄群をひとくくりにする。多くの罫線図を毎日観測するのがポイント。

ネットメンバーサービスやソフトウェアで「林」をとらえる

清光経済研究所が提供しているネットメンバーサービス「柴田秋豊の罫線」や「柴田法則PLUS」は業種別の指標を含む各指標の罫線図を確認できるようになっている。「林」をとらえるためにも、週または月に一度はチェックはしておきたい。
ネットメンバーサービス「柴田秋豊の罫線」では下記のように、清光経済研究所が定める相場のチェックポイントを含め、合計12の期間内のザラ場の最安値からの上昇率、最高値からの下落率を毎日算出して、利用者にお届けしている。これを使えば瞬時に、指定期間内の中でどのような業種が買われ、どのような業種が売られているかがわかるしくみだ。例えば1月21日現在から、さかのぼって1ヵ月間の状況を調べるのならば、下図のマルをつけたところを注意して検索ボタンを押せばよい。

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その結果、44の各指標について、その上昇率順に表示されるのだ。罫線図の確認も簡単だ。  「学ぶポイント」の中の新聞(1月9日付日経新聞朝刊)の、買いの「テーマ」として記載されていた「造船」は、トップにランクされている。注意してみれば5番目に「海運」、それら銘柄群に多い「低位株」(清光経済研究所が開発した指標)が8番目にある。日経平均が保ち合い中でも、その中の買いの「テーマ」がどのような銘柄群であるかがみえてくる。同様に売りの業種、「テーマ」は上図のようになっている。
自分の投資しようとしている銘柄群が大きな流れ(大勢)の中でどのような位置にあるのか、罫線図ではどのような形を描いているのかをしっかり認識し、それに逆らわない投資をするのが常勝投資家への第一歩なのである。

「柴田罫線を学ぶ」シリーズをPDFファイルでダウンロードする場合はこちらから

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