第15回関門観測法とは

関門観測法

上昇した銘柄の利益を確定する方法として、三段上げ銘柄と関門観測法を第13回で、上値斜線付近、出来高の水準、高値圏での長大陰陽線などを第14回で簡単に説明した。
第15回では、そのうち一般の投資家にもわかりやすい関門観測法について、実例図をもとに解説してみたい。『転底と転換罫線型網羅大辞典』で解説される関門とは「相場の関所である。その関所は、過去の因縁場につくられる。因縁場とは、過去にあった保ち合いや分岐点、押し戻り、天底、長大線の起点、斜線などのことで、そこが、次の相場への検問所の役目を果たすのであ」り、「騰落途中の相場でも、この関所に差しかかると、「通過御免」かどうかの取り調べを受けるらしく、一時その進行が停滞する」と述べられている。

そこで「この関門の存在を知ることによって、相場が素直に動けばそうなるはずの、騰落の値幅を予測することができるので、本書の転換法則に従って、間違いのない自信に満ちた出動が可能になるのである。
また、関門で売り押さえられたり、買い支えられたりしていた相場が、完全にその値を切れば、相場はすでに転換したものと判断できる。“戻り歩調”と考えられたものが上騰に変貌したこと、“押し目歩調”と見ていたものが下落に変わったことを確認できるから、退陣かドテンかの決断がそれだけ容易になる」とも述べられている。

だから「関門観測法」は、このような場面に対処する判断基準として、必要不可欠なものである。しかし「値幅観測法」と同様、あくまで前途の予想であって、この観測法1本に頼りすぎてはならないと述べられているのである。
また、なぜこれらの関門で上げや下げが停滞するのかについては 「関門は、過去における種々の材料が影響してできた相場の宿場である。

決して偶然にできたものではない。それぞれの根拠や材料から、そのたびによく値ごろが検討されてできあがった宿場である。それで下げにくい難所では保ち合い、急坂では速力が早まる。いずれにしても、その時々の材料がつくりあげた形跡である。以前に動いた道筋、すなわち前に下げたコースをたどって上げ、上げたコースを下げるのだから、以前に話題になった材料の解消、あるいは蒸し返し、または新規材料の存在が、各関門でその軽重を再検討されるのである。そのために起こる現象であると解釈すべきである」と理由が述べられている。
『転底と転換罫線型網羅大辞典』では、関門には8種類あると述べられ、以下のものが挙げられている。

《売り型》 《買い型》

(1)前安値まで上げたとき (1)前高値まで下げたとき
(2)上値斜線に突き当たったとき (2)前押し目に入ったときの高値
(3)前戻り高値に顔合わせのとき (3)前押し目の安値
(4)上値基道斜線まで上げたとき (4)大勢下値斜線まで下げたとき
(5)前長大陰線の起点 (5)前長大線の起点
(6)前持保ち合い放れになった急所  (6)前保ち合い放れの急所
(7)前保ち合いの中心値  (7)前保ち合いの中心値
(8)前高値  (8)前保ち合いの安値

売り型と買い型を比べてみるとわかわるように、若千の違いがある。なぜこのような違いがあるかについては、柴田先生の考えが聞けない今となってはだれもわからない。清光経済研究所はわかりやすさ・覚えやすさを考えて、上記8つの関門のうち、主に前高値、前安値(天井値、底値を含む)、戻り高値、押し目の安値および上値斜線、下値斜線に突き当たったときを関門としているケースが大半となっている。

学ぶポイント

●株価が前高値、前安値付近に到達したら、関門に注意して相場を観測しなければならない
⇒関門観測法  過去最高値の関門を抜いたとき、株価は青天井になることがある

●関門観測の事例−戻り高値、前高値●
前ページで紹介した関門のうち、前高値、前安値(天井値、底値を含む)、戻り高値、押し目の安値について第13回にも取り上げたペンタックスのネットメンバーサービスの画面を使って、実際の売買ポイントを含めて簡単に説明しておく。まず、買いのポイントを関門とからめて説明すると、画面図の「(1)前安値の関門(三像形成)」で示した部分でそれまでの下げ基道に終止符を打って、株価は上昇。250円を超えたところで(2)に示した「戻り高値の関門」で上げつかえて下落した。ところが、(1)前安値の関門付近まで下げると、下げ止まりをみせ反発。上値斜線を陽線で上に抜いたところで「いき」買いを出した。安値の関門付近で買い法則を出したこの時点が、買い出動のポイントとなる。

その後、株価は急上昇するのだが、今度は利益確定のポイントとして高値の関門をみていく。第13回では、(2)の戻り高値付近に関門の帯が設定してあったが、この関門付近では、陰線1本の押し目をつけただけで再び上昇している。そうなると、グレーの帯で示された(3)の戻り高値の関門が、次の高値の関門として意識されるのだが、ここも長大陽線であっさりと上に抜いている。
ここまで上昇すると、(4)の前高値の関門が最後の関門として意識されるのである。株価がこの付近(450円付近)まで上昇したときに、下値斜線を陰線で下に切る、あるいは保ち合った後に下放れるなど棒足での売り法則出現あるいは、鈎足で売り法則が出れば、利益確定のメドとなる。
ただ、必ず高値の関門付近まで上昇するという決まりはないので、現在の罫線に下値斜線を引いておき、その下値斜線を陰線で下に切ったら「いき」売りと判断して利益を確定させるのはいうまでもないことである。

ネットメンバーサービス「柴田秋豊の罫線」のペンタックス週足画面
関門

学ぶポイント

●株価が前高値、前安値付近に到達したら、関門に注意して相場を観測しなければならない
⇒関門観測法

●過去最高値の関門を抜いたとき、株価は青天井になることがある

「柴田罫線を学ぶ」シリーズをPDFファイルでダウンロードする場合はこちらから

第14回
目次
第16回