第19回段上げ段下げの角度で天井や底を読む
相場の天井と底を読む――急緩二様での転換
第18回の「柴田罫線を学ぶ」シリーズでは、相場の天井と底をとらえるサインとして「三像型」を勉強した。
今回、第19回では、同じく相場の終わり(天底)を見極めるための手段として『天底と転換罫線型網羅大辞典』の第2巻第三十一章「相場の終わりは急緩二様で天底する」で述べられている内容について基本的な解説をしたい。
ここでは「上げ相場の終わり、あるいは下げ相場の終わりには二つの形がある」と書かれている。
その二つの形とは、
(1)段上げ(下げ)の最終の段の斜線角度が前の段より急になる場合
(2)段上げ(下げ)の最終の段の斜線角度が前の段より緩慢になる場合
の二つの形のことである。
なぜこのような形になると、相場が天底となるのだろうか。その意味を『天底と転換罫線型網羅大辞典』の文章から拾ってみると、たとえば相場が底を打つ場合、次第に角度が緩慢になって底となるのは、売っても売っても下がらないからであり、逆に天井を打つ場合は、買っても買っても伸びきれないからと説明される。
つまり、底値圏の場合は、売り方の勢力に対して買い方の勢力が強まっているから、天井圏の場合は、買い方の勢力に対して売り方の勢力が強まっているからだと考えることができる。
逆に、次第に急角度になって底となるのは、総売り人気あるいは投売りの終了で底を打つためであり、次第に急角度になって天井となるのは、総買い人気あるいは踏み上げの終了で底を打つためと考えられるのである。
この第三十一章は、段上げ段下げの法則の「いら」型(次第に急角度になって終わる天底の奥義)、「いか」型(斜線角度が徐々に緩慢になるときの天底の奥義)のところで説明されている。しかし、ほかにもこの考え方をとり入れたのではないかと考えられる法則が、同じ段上げ段下げの「いに」型、三像型のところでの「いつ」型などにも見られるのである。もし、法則書をお持ちであればご自分でいろいろ確認してみていただきたい。
なお、この斜線角度の急緩は、この「柴田罫線を学ぶ」シリーズの第9回で勉強した「若い相場・老境の相場」とも深く関係しているので注意が必要だ。 『天底と転換罫線型網羅大辞典』でも、「相場の老若が深く関係していることを忘れてはならない」として「若い相場のジリ上げ、また急上げは、将来の大相場を暗示している。
一方、老境相場でのジリ上げや急上げならば、その罫線が意味しているのは買い疲れである。同様のことは下げ相場にもいえる」と述べられている。斜線角度の観察とともに、相場の位置にも注意をしてほしい。
『天底と転換罫線型網羅大辞典』については、「柴田罫線を学ぶ」シリーズの第6回で詳しく説明され、これまでにも何度も述べてきたように、法則の解説と結び付けられて、相場の基本的な流れや相場への取り組み方がわかりやすく解説されている。この「柴田罫線を学ぶ」シリーズでは、誌面の都合もありその一端しか紹介はできない。 それらを深く学びたいと思われる方は、ぜひ一度法則書に目を通していただきたい。
最後に、実際の罫線図で、相場の終わりが急緩二様で天底する様を見ておこう。ご自分の注目されている銘柄がこのような形になっていたら、天井あるいは底を打つ可能性は高いと思う。
学ぶポイント
●相場の天井と底をとらえるサイン
各段の斜線角度に注目
(1)段上げ(下げ)の最終の段の斜線角度が前の段より急になる場合
(2)段上げ(下げ)の最終の段の斜線角度が前の段より緩慢になる場合に天底となる確率が高い
急緩二様の実例
まずは、下の日本ケミコンの週足罫線図を見ていただきたい。それぞれの段に引いた斜線角度が、最終段で急角度になって、天井を打っているのがよくわかると思う。『天底と転換罫線型網羅大辞典』では「いら」型法則として解説される。
日本ケミコン(東1 6997)週足罫線図
次に、斜線角度が緩やかになって天井を打つ例をあげれば、下の日本酸素の週足罫線図が該当する。それぞれの段に引いた斜線角度が、最終段で緩やかになって、天井を打っているのがよくわかると思う。『天底と転換罫線型網羅大辞典』では「いか」型法則として解説される。
日本酸素(東1 4091)週足罫線図
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