第22回鈎足法則の活用法
鈎足法則適用の原則
いよいよこの「柴田罫線を学ぶ」シリーズもあと3回を残すのみとなった。第13回からは「柴田罫線」の法則のうち、棒足法則を中心に相場の見方を勉強してきた。第22回では、もう一つの法則である鈎足法則を使っての相場の見方について勉強しておきたい。
第3回で勉強したように、鈎足法則だけで相場を見ていく場合、転換の目安は鈎足2法則以上の同時出現または連続出現である。その原則にのっとって下の日産の鈎足罫線図での売買を考えてみると
- 2001年10月の「ろさ」「ろゑ」買いで買い出動
- 10月中旬の「ろゑ」「ろあ」売りで利益確定
- 11月の「ろゑ」買い、「ろく」買いの連続で買い出動
- 2002年1月の「ろく」「ろゑ」売りで利益確定
- 3月の「ろく」買いの連続で買い出動
となり、わずか5か月の間に買い、売りを5回繰り返すことになる。
これでは、手数料等を考えるとあまり効率のよい売買法とはいえないかもしれない。その原因は、2と4の位置での押し目にできた売り転換で、利益確定をしなければならなかった点にあるといえる。そうであるならば、この売り転換を何とかはずせないものかどうかを考えればよいことになる。その方法を次ページ以下で解説してみよう。
日産自動車(東1 7201)鈎足
学ぶポイント
●鈎足法則を使っての売買法 2法則での転換にしたがって売買する
↓
上げ途中にできた押し目の売り転換が邪魔になる場合がある
鈎足でも相場の老若、棒足法則を考慮する
上で示した日産自動車の鈎足罫線図で、10月中旬の押し目にできた売り転換と、2002年1月の押し目の売り転換を週足罫線図で確認してみると、下値斜線を下回っていないことがわかるであろう。鈎足だけでは気づかないが、このように週足罫線に基道斜線を引いてみると、上げ基道の途中にできた押し目であることがはっきりとわかるのである。
第9回で勉強した「若い相場・老境相場」の考え方からも押し目の位置での売り転換によるダマシに対処できる場合も多い。
まず、上昇トレンドに入ったばかりの若い相場では、鈎足売り法則が一つ出現したとしても、一時的な押し目である場合が少なくない。
上昇トレンドに入ってからの若い位置で1段目を形成する際の鈎足売り法則の出現+下値斜線切り(押しが深い場合には鈎足売り転換(日産自動車の場合)をし、押しが浅い場合には鈎足売り法則の出現、更に浅い場合には斜線切りのみとなる場合もある)は、相場が1段目を終了したサインとなる場合が多く、逆に次の買い場を捉えるための重要なポイントとなるのである。
日産自動車(東1 7201)週足
日産自動車(東1 7201)月足
次に、長期の週足罫線や月足罫線をみて、高値の関門を確認してみることも勧めたい。上の日産自動車の月足罫線をみてもらうとわかるように、2001年9月からの上昇を見た場合、2001年7月の高値を抜いた時点で、1996年6月の高値1020円の関門付近までの上げは予想できたと思われる。この場合、高値の関門付近までは、じっくり待って、下値斜線を下に切ったところで初めて売りを考えればよいことになる。
また、第19回、20回で勉強したように、株価は一定の基道の幅をもって、上下を繰り返しながら上昇トレンド、下降トレンド、保ち合いを形成する。その基道の角度がゆるくなれば反対法則が出現し始め、水平の保ち合いとなったときに法則が交互に出現することが多い。鈎足罫線図において「買い法則」「売り法則」「買い転換」「売り転換」が交互に出現するような状況なら、やはりここでも月足罫線図、週足罫線図を確認してほしい。もし、保ち合いと判断したら、保ち合いの上値線、下値線を引き、そこから上、あるいは下に放れる際の最終法則に従う。保ち合いを放れた際の法則は、比較的強い。
今までは、上げ基道における押し目の見方を勉強してきたが、下げ基道に入った場合は、今までと逆の判断をすればよい。下げ基道中の戻りでも同じようなことは起こりうるからである。 鈎足罫線図で売買するときには、特に上げ基道中の押し目、下げ基道中の戻りあるいは保ち合い中の転換について、ダマシとなる可能性が高いものである。そのような時は、鈎足罫線図だけでなく、週足罫線図あるいは月足罫線図もあわせて確認していただきたい。
学ぶポイント
●鈎足罫線でのダマシを極力排除していくためには週足罫線、月足罫線も併せて確認することが大切である
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